平成16年6月定例会産業経済委員会 6月18日


◆石井修委員
総論的に質疑させていただきます。中山間地域営農、いわゆるデカップリングの件で今皆川委員の方から
もお話がございましたが、農業、営農ということですね。農業も経済でありますから、プラスの要素がな
ければ、何かをやることによってマイナスを生み出すということには人間は消極的です。自分にとってプ
ラスの要素があってこそ初めて意欲的に仕事をするわけです。経済もしかりです。こちらの方で一杯もう
かっているから、この事業をやって多少赤字でもこちらの方を補てんするから総体的にいいじゃないかと
いうものも世の中にはありますが、農業自体が仕事として御飯を食べられるというか、プラスの要素がな
ければ自動的にやめていくわけです。
 今国が執っている農業政策というものは、国土は狭いですけれども、土地の利活用ですね。例えば農家
の皆さんが持っている所有権と使用権を使い分けまして、所有権はあるけれども、使用権を貸すことによ
って大規模営農をやっている。私の地区では営農組合ができまして、今50町歩近い営農を四、五人でやっ
ておりまして、 300坪20万円の米づくりと、アスパラガス反当たり百何十万円の仕事をやって、労力的に
はアスパラガス栽培の方が労力がかかるのですけれども、収益的には問題にならないほど上がると。そし
てさらに話を進めていきますと、例えば河川敷を利用して牧草を植えてあるわけです。県の管理ですから
県から農業協同組合が借りて、その農業協同組合が借りたものを畜産家に牧草地として貸している。
 懸案事項であります、新潟東港のサッポロビール株式会社の用地を借りている畜産家もいます。維持管
理という名目でただでお借りして牧草を生やしている、今度はアルビレックス新潟の練習場が行くようで
ありますけれども、その方とも付き合いがありまして、よく聞きますと、中山間地域の耕作地を牧草地と
してお借りして年間数万円で借りていると、買うほどのことはない、借りた方が安いと。したがって、よ
そから牧草とかそういうものを買うのではなくて、安い土地で自分で牧草を作っていれば、それは自分の
家畜に食べさせられるというやり方をしています。
 こういうものを日本的にいうと、一つ一つを見ると完璧な一つ一つを作るのですけれども、トータル的
にどうなのかというと、例えば林業にしても、自然に手を着けるなということで、下草刈りや枝の伐採等
もしない。営林署とのお付き合いもありますけれども、営林署は杉の伐採を夏場はやりません。雪が降っ
て手の届くくらいになるとかんじきを履いて枝の伐採をして下ろしていくということです。そういうもの
の一つ一つを箇所付けで見ていると中身の充実を図らなければならないと思うのですけれども、トータル
的に見ると、実は農業後継者不足という問題一つを取り上げても、例えば農家の長男のかたがたは、農業
をやっておりまして農作業が終わると建築土木業者に手間稼ぎに、あるいは運送業者とか頭数のいる職種
に、日雇いという形ではないですけれども、給料を取りに行く。そちらの方が時間が余計なのです。
 私はある集落を見ていますと、今まで農家の皆さんが全部自分の1町5反、2町、あるいは2町5反の
田んぼを自分で今までやっていた。どういう形態を1年間執っているかというと、5月の連休の時に田植
えをし、10月の連休の時に会社に少し休みをもらって稲刈りをし、それで農業収益を上げるという。実は
上がっていないのですね。自分で全部田植機からコンバインから全部そろえる。しかし、自分の農作業を
やっている面積からすればそれだけの器具は買えない。したがって、サラリーマンとして稼いだ給料が農
機具に化けているという現実をずっとやってきて、30戸の集落で専業農家にやってくれと、我々はもうや
らないと、農機具を全部売り払いますよと。売り払って大型農業機械を2台入れた。4人にお任せして、
50町歩の耕作地が4人でできる。余裕があるからアスパラガスを作ったらその収益がいいと、前向きにい
っているのですね。土地の所有権は持っているけれども使用権を貸したことによって、5月の連休に私の
友達は、田植えをしていたはずの人間が家族旅行に行っているのです。1年間の家計的にどうだと言った
ら、任せた方が給料をもらってきて農業協同組合に返しているよりよっぽどいいと言うのです。そうする
と、今農家をやっている若者は、使用権を貸してあげた方が実入りがいいというのです。悩んでいないの
です。今勤めている会社から給料をもらった方がよっぽどいいという形態なのです。
 そういうものを見ると、今50町歩の田んぼと稲作と園芸、アスパラガスをやっていて十分利益が出ると。
そこに例えば畜産を加えたらどういうことになるか。山手の人が畜産をやっていて、海手の河川敷に牧草
を植えてそれを刈って持っていって食べさせる。お前さんたちが牧草地を借りて羊でも、あるいは多少飼
料は仕入れなければならないけれども豚でも牛でも飼ったらどうなのかと言ったら、そんなのは片手間で
できるよと。だから、12か月の内の仕事の労力の分担をやっていけばかなり可能なところができる。
 正にそのこと自体が、いつも私の口で言いますけれども、悪名高い地方議員の海外視察で勉強させてい
ただいたことなのです。イギリスも10年間、サッチャー首相の時代の10年間でイギリスの農業は激変しま
した。食料自給率30パーセント足らずのものが今は六十何パーセントもあると。農業就労人口が12パーセ
ントあったものは1.何パーセントか2パーセントに農業従事者の人口が減っていると。しかし、それによ
ってイギリスの雇用問題がどうなっているか、私はそこまで深くは分かりませんけれども、ちゃんとして
おられるように見えます。
 今日、この農林水産部の審査が始まる前に宮越議員が、正に新潟県農山漁村と都市との共生・対流に関
する条例を作ったらいかがですかと御説明していたようでありますが、例えば稲作をやっている農家と都
会の人を結びつけて果たして結びつくのか。中山間地域、しかも、自分たちで自立できないという言い方
は厳しいかもしれませんけれども、デカップリングで最低保障をもらうという農業をやっている皆さんと
都会の皆さんを結びつけられるのか、私は非常に疑問なのです。そういう発想以前に、平場の農業と中山
間地域の農業というのはコストも労力も違うわけです。ならば、今進められている平場の、せめてヨーロ
ッパ並みの規模の農業に近づけたいという政策プラス畜産とか林業、漁業は無理でしょうけれども、加え
ることによって、12か月の労力をどう向けるかによって、正に新潟県の平場の農業と中山間地域の農業を
結びつけていける要素が出てくるのではないかという気がしてならないのですけれども、部長、いかがで
しょうか。

◎農林水産部長
今ほど委員の方からの示唆に富んだお話ではないかと思っております。私どもも、いわゆる農業のこれか
らの振興といった時には、やはり新潟県のおかれている状況からしますと、やはり米作、都市利用型農業
を中心として施策を展開しなければいけないだろう、せざるを得ないだろうと。しかしながら、今お話の
ございましたようにそれ以外の業界、畜産もそうですし水産も入るんではないかと思いますが、そういっ
たものとの連携という中で広い意味での複合営農といった形での農業の振興といったものが、やはり必要
になってくるのではないだろうかと。
 今ほど委員の方から平場についてのお話もございましたが、中山間地域につきましても私どもとしては
やはり、中山間地域において本来農地として守るところはどの部分なんだと、そのゾーニングをはっきり
としてそれ以外の所は例えば今お話のありました牧草もあるでしょうし、あるいは木を植えるといったこ
ともあろうかと。あるいはそういった能力のある担い手の方に耕作を任せてその余剰労働力というものに
よりまして、いわゆる交流、グリーンツーリズムといったものの人的な確保をしていくといったようなこ
ともあろうかと思います。そういった形での様々な形態での農業農村というものをこれから発展させてい
くと、あるいはそこに施策を施していくということが必要なのではないかと。
 そのためにも今おっしゃいましたようなことを含めて、各地域がそれぞれの農業あるいは農村といった
ものをどういう形にもっていこうかと。俺の所は4人なら4人に集めて、後はグリーンツーリズムでやっ
ていこうと。俺の所は園芸作物があるからそれでやっていこうと、そういったものをそれぞれ地域でやは
り考えて、本当に自分たちで考えていくべきであろうと。これは県が押しつけをするとかそういうことで
はなくて、そういうそれぞれの地域において自分たちの農業を中心とした地域をどう発展させていくのか
と、どうこれから持続的に維持していくのかを考えていこうと、今各地域におけるプランづくりというも
のをやっているわけでございます。そういったものを通じまして、やはり本県の農業農村の持続的な発展
を図ってまいりたいというふうに考えております。

◆石井修委員
私が言ったことは既に県がとらえて現場で実施されておるのかどうか分からないもので、現場主義なもの
ですから、書類とか文章に書いてあるのは飽くまでも見たり聞いたり考えたりすることでありましてです
ね、百聞は一見にしかず、百見は一考にしかず、百考は一行にしかずと言って実際にさっきも同じような
ことが書いてありました。 100冊の本を読むより農村に立てということは、 100考えるよりも実行が先で
す、実行が優先、実行の方が価値あるよということなんだろうと思いますけれども、同じことなんですよ
ね。ですから、それが例えば平場の営農と中山間地域の営農と合体できる可能性はないなんていうことは
ないですね。私はものすごい可能性があると思う。平場の営農をやっておられる皆さんがもう農業いいや
と、土地貸すわと、サラリーマンするわという人がいたとするならば、今私の現場でのいろいろな経験と
いうか見聞きしたものというのは、私の地域に平場で農業をやってる方が人の土地をお借りして自分で営
農を大規模にやって、しかもアスパラガスという大事なもうかる部分を手に入れて順調に運営していてス
ムーズにいっていると。そういうスムーズにいっている方が、今度山手に進出するのか。例えばこういう
一つのアイデアがあってですね、山手の安い土地でほぼただ同然の土地を利用して畜産をやろうというふ
うな考え方を持つか、まだ私の友達はそういう考えを持てないようでありますが。逆に言えば、中山間地
の皆さんが、もう俺は農業で生きるんだというのであれば、平場の農家の皆さんの所に来て平場の農家の
皆さんの土地を利用して本当に農業をやりながら、自分の持っている中山間地の農地をどう利活用するか
ということだって当然あり得ると思うんですね。
 そういうものを新潟が、米作りやったわけですから米作り農業大県ではなくて、複合営農大県として、
しかも農業後継者不足、なんとかしなきゃならんという、何か今国の執っている政策と相反するような農
業も企業が参加してもいいとかいろいろなものが出てますけれども、私はやっぱり餅は餅屋ということで
代々農業をやってきた人が大規模化を図って、コストダウンしながらやっていくことがいいんではないか
なと、私はそういう考えを持っているわけです。その土地の利活用というふうなものを何か一つ県がモデ
ルケースとして、実際に40町歩、50町歩あるいは 100町歩くらいやっている農事法人もあると思いますけ
れども、そういうものと畜産を合体させることによってもう完璧にヨーロッパ並みの農業になるよという
ふうなことを何かモデルケースとして取り組むべきではないかなと思うんですね。
 イタリアに行きましたら、王侯貴族の土地、あそこは農地解放してないですから、ヨーロッパは。王侯
貴族から 300町歩の土地を借りてモナコに住んでいる地主が、元のお偉い方が年に1回土地代を取りに来
て、その土地代はEUの農業保証制度によって土地代を出してくれて、その土地代を王侯貴族は持ってい
く、だからただの土地なわけですね、イタリアで営農をやってる方は。そこで農産物を作って、何をやっ
ているか。牛を飼っている、ジャポニカ米も作っている、野菜も作っている、芋も作っている、とうもろ
こしも作っている、そこで栽培したものを自分の所の家畜に食べさせて牛の乳を搾ってミルクを生み出し
て、年を取ってからは肉にもするんでしょうけれども。そして稲作もやっているというのが数年前ヨーロ
ッパに行って勉強をさせてもらった話なんです。
 もう既に平場の農業で大規模な営農をやっておられるかたがたでもう一押し押してやれば正に稲作農業
プラス畜産農業、合体することによって土地の利活用、山手の方も平場に出て来てやれる方法というのも
あるんではないか、農業後継者不足、大規模営農に向かっている、それから土地の利活用の問題、こうい
うふうなことを考えていくと2町5反の田んぼで毎年作っていた稲作は、極端に言えば家庭菜園みたいな
ものなんですよね。家庭菜園をやりながら給料を稼いできたものをそこにつぎ込んでいるというのを止め
ただけで5月の連休に旅行に行けるというのだから。そういうものの形態システムを少し示唆をしてあげ
てモデルケースを作ってやってあげると、後に続く方も恐らく相当出てくるのではないかなと。飽くまで
も冒頭申し上げましたように、マイナスの金を生み出すのではなくてプラスの金を生み出さなくてはだめ
なわけですから、それはもう基本でありますけれども、十分やれるんではないかなと私は思うのですが、
そういうシステムで既に県内でやっておられる方があるのかどうか、ないとしたなら農林水産部の取組と
してそういうものを将来モデルケースとしてやっていくこともあるのかどうかお聞かせいただきたい。

◎農林水産部長
今委員の方からお話があったような取組事例につきましては、申し訳ございませんが、私、今の段階では
把握してございませんが、ただいまお話のあったような政策が正に品目横断的なデカップリングの話、あ
るいは耕畜連携等に基づきますいわゆる環境保全型農業に対する直接支払制度の導入といったような事業
を検討する中に、十分課題として出てくる話ではないだろうかと思っております。今ほどのお話につきま
しては、正直中山間地の農業経営者が平場へ行くという今の委員のお話、私ども今まで余りそういった視
点がなかったわけであります。そういったことも含めながら私どもも県内の複合営農の振興策といったも
のの中に、今の御意見を十分に参考にさせていただきながら検討してまいりたいというふうに考えており
ます。